身上不ニの原則
人と自然は仲間どうし。
生き物は、本来自分が生きる環境の範囲内で、食物を調達するという大原則があります。
その土地で生まれ育ったものを本来収穫される時期に食べることは、その土地と季節にあった健康な身体をつくるということです。暑い国で育つのは、身体を冷やし、暖める陰性の食べ物です。たとえば、沖縄や九州など、暑い地域では、体を冷やす果物や、サトウキビがとれます。反対に寒い国で育つのは、身体を温め、引き締める力の強い陽性の食べ物です。
そば、小豆、ひえなどの作物などが代表的です。日本では四季折々に、その土地で収穫される食べ物をいただくことが、身体にいちばん合う食べ方です。昔ながらの伝統食はみなそうでした。
一物全体の原則
家庭の台所で料理をする際、野菜の皮はむいてしまうのが常識です。でも、大根やにんじん、ねぎやじゃがいもなどすべての野菜は葉も皮もひげ根も合わせて一つの全体的な生を維持しています。どれひとつ欠けても死んでしまいます。生きている野菜には、余分なもの、無駄なものは何ひとつありません。おいしいからといって、大根の葉を捨て、皮をむき、身の部分だけ食べていれば当然栄養バランスがかたよってしまいます。その最たるものがお米です。
お米は稲を収穫し、脱穀しもみすりした玄米であれば、まけば芽がでてきます。本来生命力旺盛な穀物の玄米を白米に精米した結果、白い米、すなわち粕(かす)となってしまうのです。魚なども、小さなものは丸ごと食べましょう。逆にいえば、丸ごと食べられない大きな動物や魚は、あまりたくさん食べないほうがいいということになります。
陰・陽とは何か?これはマクロビオティックの原理であり、また東洋の伝統的な世界観でもあります。
中国や日本では古くから、物事を陰陽というモノサシではかる見方が発達していました。東洋のこうした考え方に共通なのは、陰の性質と陽の性質の織りなすメカニズムが森羅万象に浸透しているとする点です。
ですから、体質だけでなく、食べ物や人間関係にもその働きを見ることができます。マクロビオティックの創始者・桜沢如一氏は、「易経」や「老子道徳経」などをもとに、その考え方を整理しました。ごく簡単にいえば、「陽」とは収縮していく球心的なエネルギー(またはそうした状態)、「陰」とは拡散していく遠心的なエネルギー(またはそうした状態)を指します。ただし陰陽はあくまで相対的なもので、尺度によっては同じものが陰になったり陽になったりすることに気をつけなくてはいけません。また、人の体質や性格にしろ、食べ物にしろ、まったく陽性だけとか陰性だけということはありません。形あるものは必ず、両方の要素をもっています。人間の健康や性格、それに自然現象や政治経済にいたるまで、陰陽どちらにも偏ることなく、二つの性質がバランスよく保たれていることが大切です。
運動能力が高まる
食べものをよく噛まなければ、あごが発達しません。あごが発達しなければ当然歯並びが悪くなります。
歯並びが悪くなると、虫歯や歯周病、さらにきちんと噛めないので胃腸障害や背骨の歪みなどを招くことになります。
記憶力アップと痴呆の予防に
よく噛むことで、あごのポンプ作用により脳の血液量が増加します。
これが、記憶力の向上や痴呆症の予防に役立つのです。
抗癌作用など、唾液は「百薬の長」
多くの発ガン性物質の毒性は、唾液中に30秒ほど加えるだけでほとんど消えてしまうことが発見されました。唾液に含まれるペルオキシターゼやカタラーゼなど約15種類の酵素郡がかかわっているということです。また、唾液にはダイエットに効果的なDIT(食事誘発性体熱産生)や美容に効果的なEGF(上皮細胞増殖因子)などが含まれ、さらに殺菌、抗炎、抗潰瘍、抗癌作用などもあります。